第1回オンライン国際カンファレンス「帰国留学生総会」の会場として用意されたバーチャルルームに入ったとたん、まるで日本にいるかのような気分になりました。そこは、畳の上に緋毛氈を敷いた舞台がある和風の会議室で、会議後の懇親会用にはバーチャル階段を1階上がったところに池のある石庭があって、そこに野点傘が点在していました。普段ならば傘の影でゆったりと日本茶を楽しめたことでしょう。「普段ならば」というのは、残念ながら今回の総会はコロナ禍の影響でウェブでしか開催できなかったからです。
外務省と日本国際化推進協会が主催する帰国留学生総会は2021年3月24日と25日の両日に開催されました。現在、世界115ヶ国で日本からの帰国留学生が集う同窓会が組織されていて、その数は216にのぼります。今回の総会の目的は、帰国後も母国で対日関係のために尽力しつづけている世界中の帰国留学生をつなぎ、グローバルネットワークを立ち上げることにありました。私自身1999年に三重県津市の三重大学に1年間交換留学生として留学していましたが、今回の総会にドイツ代表として参加する光栄に浴したのは、外国青年招致事業(JETプログラム)元参加者の会(JETAA)のドイツ同窓会の会長をしているからかもしれません。なんといっても、JETプログラム参加者のほとんどは、一度は日本に留学しているのですから。
二日間の総会で40ヶ国以上の同窓会代表者との交流がありました。もっとも時差の関係で全員が同時に集まることは残念ながら不可能なため、私が参加した初日は27ヶ国、二日目は16ヶ国が招待されていました。初日・二日目ともに五つの同窓会のプレゼンテーションがあり、菅義偉日本国内閣総理大臣からのビデオメッセージを頂戴しました。以下の画像をクリックしますと、日本語のオリジナルメッセージをお聞きいただけます。そして、私たちが野点傘の下でバーチャルお茶会を楽しんでいると、サプライズゲストとして安倍晋三前日本国内閣総理大臣が登場され、各テーブルをまわって私たちにお声がけくださいました。
私は、人と人が直接交流できるリアルな会が一日も早く復活することを切望してはいますが、このような「孤立」の時代にこそ単に出会うだけでなく、全く新しい「同好の士」と知り合えるイベントを企画・実施してくださった外務省および日本国際化推進協会に感謝します。しかも、バーチャルな世界だからこそ、世界中の同志と出会えるイベントにご招待いただき、心から御礼申し上げます。
日本国際化推進協会による帰国留学生総会の報告はこちら、帰国留学生総会フェイスブックサイトの公開部分にはこちらからアクセス可能です。
スヴェン・トゥラシェフスキ(Sven Traschewski)
2006年にドイツの大学で日本学と中国学の修士号を取得した後、札幌市総務局国際部交流課に4年間JETプログラム国際交流員(CIR)として勤め、帰国後2012年にベルリン日独センターに就職、人的交流事業(日独ヤングリーダーズ・フォーラム)および会議系事業を担当。