コロナ禍におけるベルリン日独センターの活動 ――「ニューノーマル」時代への対応

コロナ禍はすでに1年以上もつづき、世界は未曽有の事態にあります。ベルリン日独センターはこの危機をチャンスと捉え、これまでの事業や働き方を抜本的に見直しています。

ベルリン日独センターの事務総長に就任したのは昨年10月のことでした。思えばそれに先立つ採用面接もすでにウェブ面接でした。スタッフとの初顔合わせではマスクに隠れて互いの表情は見えず、不思議な感覚を覚えたものです。今日まで対面での関係各所への挨拶も果たせていませんし、催し物での開会のあいさつもオンラインのみです。そして、理事・評議員の方々にさえもマスクを外して笑いかけられたのは Zoom ミーティングの場のみという状況が今日まで続いています。そう、これもコロナ禍ゆえ。目下、未曾有の事態なのです!

コロナ禍においては、家族をはじめとした周囲の人々の健康を守ることが最も重要であるとされています。つまり、あらゆる面で接触を減らすことが求められているわけです。そのため、他の多くの組織と同様にベルリン日独センターも例外ではなくIT技術を駆使することを迫られました。その意味ではこの危機は「デジタル化への起爆剤」の役割を果たしたと言えます。今では、会議系事業や日本語講座は対面ではなく、完全にウェブもしくは、ウェブとリアルを合わせたハイブリッド型で行われています。もちろん、そうしたウェブでの措置が対面での交流に取って代わるものではないことは誰もが認識しているところです。反面、それと同時にこうしたデジタル化や技術がもたらす新たな可能性を積極的に取り込むことで、日本とドイツの距離が大きく近づいたと感じています。驚いたのは、たとえば、ウェブでのシンポジウム開催や日本語講座へのシフトが上手く進んだことで、私たちの活動がより多くの人に届くようになっただけではなく、スピーカーがベルリンまで出張する必要がなくなったことで事業運営がより効率化したことです。そのため、アフターコロナにおいてもウェブ開催の事業を企画し続けることは間違いありません。

Grenzüberschreitende Diskussion hochrangiger Referentinnen

ウェブ開催だからこそ実現したハイランクスピーカーによる「国境を超えた」ディスカッション。写真中央は林伴子内閣府男女共同参画局長、
右端上から著者、フランツィスカ・ギファイ(Franziska Giffey)独連邦家庭高齢者女性青少年大臣、フェーベ=ステラー・ホルドグリューン
(Dr. Phoebe Stella HOLDGRÜN)、ベルリン日独センター・プロジェクトマネジメント部長
日独シンポジウム「政治・政策分野におけるジェンダー平等の進捗状況」、2021年3月4日・5日

リモートでのチームワークも驚くほど上手くいっています。このコロナ禍による危機をチャンスと捉え、これまでのワークフローを徹底的に見直し、館内の連携を一から新たに考え直しています。そうした中、この意思決定のプロセスにおいて明確な目標を掲げることならびに透明性を確保することはかつてないほど重要になっています。また、リモートワークにおいても館内のコミュニケーションが円滑になるよう、たとえば、ウェブでの定例会議以外にも朝は定期的に「チェックイン」を活用し雑談タイムを設けています。そして、ときには夜にオンライン飲み会を開くこともあります。

Virtuelle Team-Nights

スタッフが集うオンライン飲み会

それでもなお出勤しなければならないスタッフは、担当スタッフの監督下で朝一番にコロナ簡易テストを受けることができます。また、必要に応じて日本のDS2マスクに相当するFFP2マスクも配布しています。私自身は、現在極力出勤を控えていますが、自分のオフィスで仕事ができる日が待ち遠しいです。というのも、リモートかつフルタイムで共働きをしている親にとって子どもの家庭学習や家庭保育は、もとより異例づくめのコロナ禍においてさらなる大きな負担となっているからです。目下仕事を持つ親御さんであれば誰もが同じご苦労をされているのではないでしょうか。

それでもベストを尽くして「ニューノーマル」時代に対応する他ないようです・・・。
幸いコロナテストとワクチンのおかげで、ベルリン日独センターまたはいずれかの場所で読者の皆さまとお会いできる日もそう遠くはないと思っております。お会いできるその日まで皆さまのご健康と安全をお祈り申し上げます。お互いにこのコロナ禍のチャンスを活しましょう!

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就任後、リモートワークを実現するためにIT分野での初の大きな投資として新たに20台のノート型パソコンを購入

Markus BECKER

ベルリン日独センター館内救護室で簡易検査キットを用いた自己検査後、担当スタッフのマルクス・ベッカーが証明書を発行

文:ユリア・ミュンヒ(Dr. Julia MÜNCH)、ベルリン日独センター事務総長
訳:ベルリン日独センター