映画上映会+トーク「願いと揺らぎ」
我妻和樹監督、2017年、146分、英語字幕
海が揺れた、
土地が揺れた、
そして心もー。
震災が生んだひずみを乗り越え、土地とともに生きていく。
12年の記録を凝縮した被災地の生きた証。
本作は、宮城県南三陸町の小さな漁村における大震災までの3年間の日常を追ったドキュメンタリー映画『波伝谷に生きる人びと』の続編に当たる。震災から1年後の人びとの混乱と葛藤を追いながら、復興への願いと、それぞれの立場と想いのすれ違いからくる心の揺らぎを、地域の伝統行事である「お獅子さま」復活の過程をめぐって描き出している。そこでは震災前の貴重な映像を折り込みながら、かつての暮らしを取り戻そうと苦悩する被災当事者の姿が克明に映し出されている。
津波によって集落が壊滅し、コミュニティが分断された波伝谷では、ある若者の一声から地域で最も大切にされてきた行事である「お獅子さま」復活の気運が高まる。それは先行きの見えない生活の中で、人びとの心を結びつける希望となるはずだった。しかし波伝谷を離れて暮らしている人、家族を津波で失った人、さまざまな立場の人がお獅子さま復活に想いを寄せる一方で、集落の高台移転、漁業の共同化など、多くの課題に直面して足並みは一向に揃わない。震災によって生じたひずみは大きく、動けば動くほど想いはすれ違い、何が正解なのかも分からぬまま、摩擦や衝突を重ね「お獅子さま」は復活する。
それからさらに時は流れ、仮設住宅から高台へと居を構え、波伝谷で生きることを決意した若者は、改めて当日の地域の混乱と葛藤を振り返ることになる。
学生時代に民俗調査で波伝谷を訪れ、2005年から「お獅子さま」を撮り続けてきた我妻和樹監督が、ともに迷い、もがきながら、それでも復興に向けて歩み続けた人びとの「願いと揺らぎ」を鮮烈に映し出したドキュメンタリー。
山形国際ドキュメンタリー映画祭2017 インターナショナル・コンペティション入選
ご出席される方々は、本イベントの開催時の記録用撮影に関し、ご自身の画像・映像が追ってベルリン日独センターの広報用媒体に掲載される可能性があることを予めお含みおきくださいますようお願い申し上げます。
2018年03月16日 18:00
ベルリン日独センター
入場無料
情報
写真 © peace tree products