日独シンポジウム「デジタル化および情報化社会における民主主義と社会参画の未来」
重点: デジタルト化の進む社会
デジタル化に関しては広範な議論が展開されるようになりましたが、それは、しばしば政治・経済・社会生活のさまざまな領域において組織形態の改変プロセスを喚起しています。デジタル化の意義やその影響の解釈は多岐にわたるものですが、デジタル化が現代世界の「唯一(・・)の特徴」ではないにしても「ひとつ(・・・)の特徴」であるという点では少なくともコンセンサスがあるようです。デジタル化は「コミュニケーション、社会的・政治的交流、商取引、メディア、娯楽における物理的相互作用をデジタル媒介のものによって置き換える新しい空間ないしは空間概念の創造」を推進します。デジタル化によって政治・経済・社会活動の様相が変わりましたが、集団としての自意識や地域社会に対する考え方も変化したことがより重要な影響として挙げられます。
デジタル化の影響は、たとえば産業界ではデジタル技術の適用によって可能になるイノベーション、自動化、人工知能(AI)の普及に顕著に表れています。あるいはまたデジタル化の向上によってもたらされる肯定的な変化に焦点を合わせる政府主導のプログラム――たとえば、ドイツのインダストリー4.0(Industrie 4.0)や日本のソサエティー5.0(Society 5.0)――で顕在化しています。
デジタル化によって個人間、世帯間、世代間、コミュニティ間、州や国の間の格差に新しい側面が加わりました。たとえば「デジタル・ディバイド」という言葉がありますが、これは情報通信技術へのアクセスや使用面における不平等を記述する概念です。今日のネットワーク社会では「切り離されていること」「アクセス不可能なこと」はマージナル化(片隅に押しやられること)を宣告されるに等しいのです。
本シンポジウムには日独の有識者を迎え、日本とドイツの経験を基に両国を比較しつつデジタルスペース――およびデジタル技術による非物理的領域の空間化――と社会的インクルージョン・エクスクルージョン(包摂・排除)の関連性に焦点を合わせ、政治・経済・社会にデジタル化が及ぼす影響を再考し、「内と外」ないしは「我々と他者」の間に生まれた新しい境界や、不平等と疎外化の新しい形態について意見交換・討議していただきます。
2018年02月06日
ベルリン日独センター