
ベルリン日独センター40周年記念展:伝統から現代まで
本展は、ベルリン日独センター(JDZB)の創立40周年を記念し、当センターが所蔵する選りすぐりの芸術作品を通じて、日本美術の伝統と現代の表現を紹介する特別企画です。
展覧会の中心となるのは、20世紀を代表する日本画家・東山魁夷(1908–1999)の作品群です。東山は1930年代に、日本初のドイツ学術交流会(DAAD)奨学生としてベルリンに渡り、美術史を学びました。また、1985年から1994年までは当センターの評議員を務めるなど、ドイツおよび当センターと深い絆で結ばれています。
代表作のひとつである《朝雲》(1989年)は、センター設立を記念して特別に制作されたもので、東山が生涯を通じて描き続けた自然への静かなまなざしと、深い精神性が凝縮されています。その詩情あふれる風景は、日本人の自然観を象徴するものとも言えるでしょう。今回は、東山画伯から寄贈された数多くの貴重なリトグラフも特別に公開いたします。
さらに、「現代の琳派」とも称される日本画家・加山又造(1927–2004)による2点の大作も、本展の大きな見どころです。琳派とは、安土桃山時代から江戸時代にかけて発展した流派で、金箔や鮮やかな色彩を用いた豪華な装飾画法で知られます。加山は、そうした伝統的な美意識を継承しながら、現代的な感性を融合させ、華やかで洗練された独自の世界を築き上げました。
また、戦後日本の前衛美術を牽引した「具体美術協会」の中心メンバー、白髪一雄(1924–2008)の作品も展示されます。白髪は革新的な表現手法により、世界の現代美術界にも大きな影響を与えました。
そのほか、人間国宝である井上萬二(1929–2025)、室瀬和美(1950–)による美術工芸品をはじめ、書画や能装束など、公開の機会が限られている貴重な作品も展示。多彩なジャンルを通じて、日本美術の奥深い魅力を立体的に紹介します。
40年にわたり築かれてきた当センターのコレクションを通して、伝統と現代が響き合う日本美術の世界を、どうぞ心ゆくまでお楽しみください。
2025年07月16日
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2025年12月19日
ベルリン日独センター
2025年7月1日 - 8月31日の開館時間
月~木 15時~20時